家相(風水)とは?
2024年07月28日 17:23
■「家相(風水)」とは?
「家相」とは、先人が築いた住居に関する考えを簡潔な言葉で示したもので、方位による地場のエネルギーの考えを取り入れて整理したものです。もっと簡単に言うと「家の風水」です。
「家相」は、「信仰する宗派」や「お住まいの地域」、「参考にする書籍」や「相談する専門家」によっても内容が微妙に異なります。そのため、あくまでも参考程度に「家相(風水)」について書かせていただきます。
「家相」は、奈良時代に中国から仏教とともに伝わり、日本各地で独自に発達しました。そして、先人の知恵を振り絞って出来上がったのが「家相」ですが、それは昔のことです。
現代の住宅では、住宅構造はもとより、断熱性能や遮音性能が向上し、水回りなどの住宅設備やドア・窓ガラスの性能も随分と良くなっています。「家相」は、方位によって風の流れや陽の入り方など、自然エネルギーとどのように付き合うのが良い家なのかを考えて作られています。 そのため、それぞれの考え方は的を得ているものが多く、「家相は昔の話」と切り捨てずに是非参考にしていただきたいと思います。
とは言え、「家相」がすべてといったマイホーム購入や家づくりには反対です。それは、「家相」は現代の住宅性能の向上で補える部分も多くあり、もっと他のことを優先順位に置いて家づくりを考えるべきだと思うからです。
「鬼門」と「裏鬼門」。「正中線」と「四隅線」。
「家相」を考える上で、絶対に外せないのが「鬼門」と「裏鬼門」です。 現代の方角で言うと、「鬼門」が「北東」、「裏鬼門」が「南西」にあたります。
「鬼門」と「裏鬼門」は、家相では最も凶の方角とされており、家相を意識した間取りは、この方角を避けるところから考えていきます。家の中心から南北に引いた線を「正中線(せいちゅうせん)」、家の中心から東西に引いた線を「四隅線(しぐうせん)」と言います。
これらの言葉は、「家相」についての話では頻繁に出てきますので、覚えておくと便利です。
「三所」に「三備」を設けてはいけない?
三所…鬼門(北東)・裏鬼門(南西)・宅心(建物中央)
三備…トイレ・キッチン・玄関
「家相」では、吉(良い運気)も凶(悪い運気)も玄関から入るとされています。
「鬼門」または「裏鬼門」のライン上に玄関を配置した間取が一番悪いだと言われています。そして、トイレとキッチンも玄関と同様に「鬼門」と「裏鬼門」に配置するのは良くないと言われています。
ここでは、「鬼門」と「裏鬼門」に玄関を配置しなければ、「家相」の最悪の間取りにはならないと理解していただければと思います。
正中線・四隅線には「不浄」の部位を置かない
トイレ・浴槽の排水溝・キッチンのシンク・コンロ・出入りできる開口部(ドアや掃き出し窓など)は、家相では「不浄」とされています。 この「不浄」の部位を、正中線や四隅線にかかるように配置すると、凶を招くとされているので、これらの「不浄」の部位がかからないように計画してください。
また、家相では「欠け」は良くないとされており、いろいろな凶事(よくないこと)を招くとされています。
「欠け」とは、一辺の長さの2/3以内の凹んだ部分を言います。
逆に、一辺の長さの1/3以内の飛び出しを「張り」と言い、吉方(良い方向)に向かって「張り」のある間取りは吉を呼ぶとされています。
吹き抜けは家相では「欠け」に該当します。そのため、吹き抜けは凶事を招くので設けないほうが良いと言われています。
吹き抜けはおしゃれですし、開放感もあって部屋を広く見せる効果もありますが、あくまでも家相を意識する場合は設けないほうが良いとされています。
家相では階段も「欠け」に該当します。
中でも宅心(建物中央)に配置するのは良くないとされており、凶事を招くとされています。
正中線・四隅線には「不浄」の部位を置かない
トイレ・浴槽の排水溝・キッチンのシンク・コンロ・出入りできる開口部(ドアや掃き出し窓など)は、家相では「不浄」とされています。
この「不浄」の部位を、正中線や四隅線にかかるように配置すると、凶を招くとされているので、これらの「不浄」の部位がかからないように計画してください。
また、家相では「欠け」は良くないとされており、いろいろな凶事(よくないこと)を招くとされています。
「欠け」とは、一辺の長さの2/3以内の凹んだ部分を言います。
逆に、一辺の長さの1/3以内の飛び出しを「張り」と言い、吉方(良い方向)に向かって「張り」のある間取りは吉を呼ぶとされています。
吹き抜けは家相では「欠け」に該当します。 そのため、吹き抜けは凶事を招くので設けないほうが良いと言われています。吹き抜けはおしゃれですし、開放感もあって部屋を広く見せる効果もありますが、あくまでも家相を意識する場合は設けないほうが良いとされています。
家相では階段も「欠け」に該当します。中でも宅心(建物中央)に配置するのは良くないとされており、凶事を招くとされています。
家相例と格言
・身の丈に合わせた大きさの家をつくりましょう。
・住む人がいなくなった部屋があると家が傷みますよといった格言。
広い家、段差が多い家や湾曲した家は掃除も大変で、その煩わしさはずっと続くので注意してくださいという意味です。
・便所と玄関が近いと腫れ物や出来物ができるという格言。
言い換えれば、玄関に入ってすぐに便所があるのは凶。昔のトイレは水栓でなく汲み取り式だったため、臭く不衛生であったと思われます。
・南側に軒や庇がないと口の災いが元で離婚するかもしれない。また、逆に庇が深くても情弱になるという格言。
日照を上手く遮り、暑さ寒さを考えた家づくりがいかに必要で大事かということだと思われます。
・南東や南の方角に年配者の部屋をつくると良いという格言。
朝日は南東方向から入るので、早起きの年配者には目覚めの良い快適な場所という意味だと思われます。
・トイレは家の真ん中に設けてはならないという格言。
昔は、水栓でなく汲み取り式であったために、真ん中にあると窓がなく換気できないため家全体が臭くなってしまうという意味だと思われます。
・家の窓は東に開けたほうが良いという格言。
東に窓を開けると、朝の寒い時間に照らしてくれるので家が暖かくなり快適になります。逆に西側に窓を開けると西日で眩しくなってしまうという意味だと思われます。
・その他
その他、神棚の位置は北側に据えて、南側に向けるのが大吉。北西に据えて東南に向けるのが吉とされています。
また、仏壇は北西に据えて、東南に向けるのが大吉。西側に据えて東側に向けるのが吉とされています。
(※宗派によっては異なります)
このように、家相の根拠となる話の一つ一つは、的を得ていて分かりやすい話ばかりです。
特に昔は、夏の暑い日差しを遮りながら涼風を取り込みます。そして冬の寒い時にはいっぱいの日差しを取り込みたいと思います。キッチンは日差しを避け、便所は換気が上手くできるところに配置したいと思います。
そういった、昔の科学的根拠に基づいた間取りの考え方が、一つのノウハウとして短い言葉でまとめられて、「家相」として出来上がったと考えられます。そして、その「家相」をより具体的に検証できるように「家相方位盤」が発明され使われるようになりました。
家相と上手に付き合う
マイホーム購入において、特にマンションや建売住宅のように限られた面積の場合、その間取りは「家相的」にはどこかは凶や大凶の範囲に入ってきてしまうと考えられます。
実直的な話をさせていただきますが、限られた狭い面積の中で間取りを考える以上、すべてを完璧な間取りで考えるのは、家相を考えなくても容易なことではありません。
それを家相も含めて考えるとなると、お好みの間取りどころではなくなってしまう可能性もあります。何のためにあなたは家相(家相方位盤)を使うのかを今一度立ち止まって考えてみてください。 家相方位盤に照らし合わせて、ぴったりとはまらない。
『玄関横にトイレがあるなど…』そのことにとらわれて間取りを無理に変更するのではなく、その心を正しく理解してその対処法を適宜考えることが重要だと思います。それが正しい「家相」との付き合い方だと私は考えます。
なぜなら、はじめから家相ありきでは住み良い理想の家はできないと考えるからです。家相を取り入れずとも、理想のマイホームを購入することはそうそう出来ることではありません。
そのうえ、水回りや吹き抜け、階段の位置まで制約をつけてしまうとどうしても家相以外のところで妥協せざるを得ないところが出てきてしまうのです。
季節や自然に対しての考え方を盛り込んで、これからの暮らし方「ライフスタイル」を見つめ直し家づくりに取り組むこと。その中で、この「家相」の考え方も理解しておく。そのぐらいのバランスでの付き合い方でちょうど良いと私は思います。
家相の専門家に相談する?
不動産業者やハウスメーカーからもらった間取り図面や物件資料を、家相や風水の専門家に見せ、間取りを判定してもらおうと思う人がいるかもしれません。
ですが、そのやり方を私はあまりおすすめしません。専門家に相談しても迷いが増え解決にならないと思うからです。
専門家が言う通りに間取りを変更しても、また違う人に見せたら違う問題点が指摘されてしまった。これはよくある話です。聞けば聞くほど疑心暗鬼になって、理想のマイホームから遠ざかってしまいます。
ここでひとつ違う話をします。
マンションに住んでいるAさんがいます。Aさんはとても幸せです。
では、同じ間取りの例えば、上下階に住んでいるBさんとCさんは幸せでしょうか?その答えは、決してAさんとまったく等しく同じではありませんよね。間取りが同じでも、そこに生活する人によって住居の満足度、人生の満足度は変わってくるからです。
私がおすすめする家相との付き合い方は、不動産購入が具体的になった段階、もしくは間取りが完成した段階で、はじめて家相に照らし合わせるという方法です。
途中までは、それが家相に即しているかは全く考えずに、気に入った間取りが出来上がった、もしくは不動産購入が具体的になった段階で、はじめて「家相方位盤」をチェックしてみます。その中で、家相通りでない箇所があれば、なぜ家相がダメなのかを個別で調べ、その理由がどうしても外せない場合は、対処法を家相や風水の専門家に具体的に考えてもらうというプロセスが、一番しっくりくるのではないかと思います。