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2つのモジュールと畳の大きさ

2024年07月28日 17:26

■2つのモジュールと畳の大きさ

家づくりにおいて、設計の基準になる規格寸法の単位である「モジュール」。

 

住宅の設計では「尺(しゃく)モジュール」と「メーターモジュール」の2種類があり、家のサイズを決める基本的な寸法になります。


これらは、日本古来の「尺貫法」に基づく単位が昭和34年に廃止され、「メーター法」に切り替えられたことでできた2つになります。

 

日本では、そもそも昔から長さ・距離の単位を1尺(しゃく)、2尺(しゃく)の単位で測っていました。そのため、今でも多くのハウスメーカーの住宅部材や住宅設備をはじめ、家具、カーテン、ジュータンなどがこの寸法「尺(しゃく)」が基になって生産・販売されています。現在、尺(しゃく)モジュールが日本において1番手の寸法単位となっています。


一方、メーターモジュールは、その名の通り、1m(メートル)を基準とした規格寸法で、比較的新しいため、最近は増えてきてはいますが、今はまだ2番手の寸法単位となっています。


住宅展示場

すでに、住宅展示場(ハウジングセンター)などに足を運び、各社モデルルームを見学した方であれば耳にしたことがあるかもしれません。

 

実は、この「尺モジュール」と「メーターモジュール」は、どちらを採用しているかで、家の大きさや建築費用に違いが出てきますので、今回はそちらをご説明してまいります。


1.2つのモジュールの違い

メーターモジュールは1m(1000mm)を基本単位とするもので、尺(しゃく)モジュールとは、3尺(910mm)を基本単位とする設計基準のことです。

 

これらは、柱と柱の中心の距離を指した寸法で、実際の寸法は柱や壁の厚さの分だけやや狭くなります。この実寸幅のことを「有効幅」と呼びます。柱の太さや壁の厚みは各ハウスメーカーによって異なりますが、尺モジュールの有効幅は約780mm程度、メーターモジュールの有効幅は約870mmほどになります。ちなみに、メーターモジュールと尺モジュールの違いがもっとも分かるのが廊下と階段の幅です。

 

先の述べた通り、従来日本の一般住宅は3尺(910mm)を基本とした尺モジュールが使われてきましたが、これは畳の大きさ(1畳=1820mm×910mm)で家の大きさを決めてきた日本古来の習慣によるものです。


最近の住宅事情ではバリアフリーへの対応などもあって、メーターモジュールを採用するハウスメーカーが徐々にですが増えてきています。

 

尺モジュールに比べて、廊下や階段の幅が、有効幅で9cm広く取れるメーターモジュールが増えているのは、バリアフリー設計や車椅子なども通りやすいため、老後の住まいのことも考えて家づくりをする方が増えていることも要因のひとつだと言えます。とは言え、まだまだ尺モジュールの住宅メーカーが多いのも確かです。

 

尺貫法とメートル法の換算表「長さ・距離」

尺貫法(長さ・距離)

2.大手ハウスメーカーはどっち?

メーターモジュールと尺モジュールのそれぞれについて、大手ハウスメーカーでどちらを基本設計として採用しているかをまとめてみました。

 

○メーターモジュール

・積水ハウス ・トヨタホーム ・タマホーム・ユニバーサルホーム ・アイフルホームなど

 

○尺モジュール

・ダイワハウス ・住友林業 ・セキスイハイム ・ミサワホーム ・一条工務店 ・ヘーベルハウス ・三井ホーム ・パナソニックホームズなど

 

こうして見ると、やはり尺モジュールを採用しているハウスメーカーの方が多いことが分かります。尺モジュールが多い理由は、日本古来の寸法である尺貫法に基づいて、住宅部材や関連設備などが数多く生産・販売されており、仕入れ単価が安価なことが1番の理由になります。


また、尺スケールというのは、必要な場所だけ、必要な広さに設定できる自由度が、メーターモジュールよりも高いので、未だに尺モジュールの方を基本寸法にしているハウスメーカーが多いと考えられます。

 

なお、ハウスメーカーの中には、廊下や出入り口だけをワイドモジュールで設計したり、2世帯住宅の両親世帯が暮らす1階だけをワイドモジュールで設計可能なハウスメーカーも実際にあります。

 

そう何度もマイホームを建てたり購入したりする機会はありませんので、どうぞご遠慮なさらずご希望のハウスメーカーの窓口担当者へ、いろいろ見て聞いて素敵なマイホームを建ててください。


3.畳の大きさの違い

さて、もうひとつの事案として、畳の大きさの違いについてもここで解説しておきたいと思います。

 

畳の大きさは地域によって異なります。不動産広告では、不動産公正取引協議会連合会が定める不動産の表示に関する公正取引規約では、「1畳」とは1.62㎡(0.49坪)以上ある場合に用いると定義されています。しかしながら、この畳の大きさは地域により異なり、この定義に満たない場合も存在します。その畳の大きさは、大きく分けて4つになります。

 

①京間(関西間)

 

関西、中国、四国、九州地方など主に西日本で主流です。

1畳は、1.91m×0.955m=1.91㎡(0.57坪)

 

②中京間

 

愛知、岐阜、三重を中心に一部近畿、四国、東北地方でもあり。

1畳は、1.82m×0.91m=1.65㎡(0.49坪)

 

③団地間

 

公団住宅、アパート、マンションなどの共同住宅で主に用いられる。

1畳は、1.7m×0.85m=1.44㎡(0.43坪)

 

④江戸間(田舎間)

 

東京を中心とした関東をはじめ北海道でも主流、静岡以北で多く用いられている。

1畳は、1.74m×0.87m=1.54㎡(0.46坪)

 

このように、畳の大きさには地域によって違いがあり、例えば、京間の6畳(11.46㎡)と団地間の6畳(8.64㎡)では、差がかなりあることが分かると思います。


そのため、生まれ育った地域と現在の居住地が異なる場合はその習慣の違いを頭に入れておくとギャップが少ないと思います。


畳

4.地域によって畳の大きさが違う理由

室町時代までは、畳の大きさには統一性はなかったそうです。その後、安室桃山時代に畳の長辺は「6尺3寸」に統一されたそうです。それが江戸時代には「6尺」と短くなり、畳の大きさが必然的に小さくなったそうです。

 

もうひとつの理由としては、関西では、家を建築するときは畳の大きさを基準として建築する「畳割り方式」が採用されていましたが、関東では、家を先に造り、その後に柱と柱の間の内側に畳を敷き詰める「柱割り方式」が採用されていたそうです。そのため、柱の太さの分だけ畳1枚の大きさが小さくなるので、関西と関東で差が生じたとする節もあるようです。

 

そして、その後関西では「京間(関西間)」が、東海地方では「中京間」が、静岡以北では「江戸間(田舎間)」が、公団住宅やアパートなど共同住宅では「団地間」が採用されることになっていったと言うことです。


4.畳と帖の違いは?

「1畳」も「1帖」も、どちらも同じ「いちじょう」と読みますが、その違いは何なのでしょうか?

 

結論から言うとまったく同じ意味で使われます。

 

昔の日本は、和室が中心の住まいだったので、部屋の大きさをタタミの枚数で表示していました。6畳ならタタミ6枚、4畳半ならタタミ4枚と半分の大きさという意味です。それが、現在では和室が少なくなり、洋室が主流となったことで、和室と区別するために和室には「畳」を、洋室やリビングには「帖」を用いるようになったということです。

 

尺貫法とメートル法の換算表「広さ・面積」

尺貫法(広さ・面積)

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